今年の9月に発行されました
2010年夏、3歳の女児と1歳9ヶ月の男児の死体が
大阪市内のマンションで発見された事件です
この本の中では、大部分が母親のこれまでの人生
そして母親の父、子どもたちの祖父の人生についても深く触れていきます
そこまでみていかないと事件の本質はつかめないと静かに訴え続けているかのように
これは、母親一人の罪なのか
この事件については、このルポを読んでからではないと語れない・・・
裁判に関わった人たちにも知っていて欲しかった
そうであれば、違った判決になっていたのではないか・・・
と考えさせられました
そして、同じ著者が約10年前に書かれたものです
2000年12月、名古屋市で、3歳になったばかりの女の子が
段ボールの中に入れられたまま、ミイラのような状態で亡くなった事件です
なぜ一緒に生活をしながら、ダンボールの中で子どもが亡くなるのか
という疑問がとけていくように、しっかりと追われています。
私がこれを読んだ頃は、まだバディチームは始まっていないときでしたが
家庭に入る支援員としていくつかの現場に通い始めた頃でしたので
「この家に入ることが出来たら・・・そしたら何か、違った展開になることも
できたのではないか」
と思いながら読んでいました
けれども、この大阪の事件はそこまでもいかない
行政がたどり着けないところにあって
そして、このような家庭、同じような事件はこの先もまたきっと
起こりえるだろうと、なんとも厳しい後味を感じる読後でした
杉山春さんのこの2冊は(他の著書はまだ読んでいないのですが)
事件そのものとはまた別に、作品として
フィクション、ルポとしての醍醐味を感じられ
優しい眼差しの中で、淡々と、静かに、訴えていく力に圧倒されます