NPO法人バディチームブログ

バディチームは子育て支援・虐待防止・里親支援を目的とするNPO法人です。

赤ちゃんの泣声と「乳幼児揺さぶられ症候群」

「乳幼児揺さぶられ症候群」という言葉を聞いたことはありますか?
もしかしたら、「揺さぶられっ子症候群」という名前のほうが耳にしたことがあるかもしれませんね?

「高い高いをしたらなっちゃう」とか、いろいろ誤解された情報も多いようで、
子育てパートナー数名で、メカニズムや予防について研修を受けてきました。

研修を担当した山田不二子先生も、「日本の中での誤解をとかなければ」と全国行脚されている方でした。
予防などについて、大変勉強になりましたので、子育て中の親御さんのためにも少しご紹介しますね。

■「乳幼児揺さぶられ症候群」とは何でしょう?
1秒間に2〜4往復のスピードで赤ちゃんや子供を揺さぶる、暴力的な揺さぶりで起きる身体的な虐待のひとつです。
目立った外傷は少ないのですが、脳そのものにダメージを受け、赤ちゃんが死んでしまったり、重い障害が残ることが多いです。
ほんの数秒の暴力的な揺さぶりで、その子の一生が台無しになってしまいます。

1秒間に2〜4往復。ちょっと試してみてください。尋常ではない速さです。はたから見ていても、赤ちゃんをあやそうとして揺さぶるスピードではないです。
(実際、目の前で赤ちゃん人形が揺さぶられるのを見ましたが、怖かったです・・・)
このような揺さぶりは、大人のどういう意図があれ、虐待と認定されます。
多くは赤ちゃんですが、5,6歳ぐらいの子供でも例があります。


■原因は赤ちゃんの泣声
大人が暴力的な揺さぶりをしてしまう要因は「赤ちゃんの激しい泣き声がカンにさわった」というのが一番多くみられます。
赤ちゃんは空腹などの理由がなくても、泣き続けることがあります。いわゆる「夜泣き」「かんのむし」といわれるものです。これは生後2か月ごろがピークに徐々に減ります。
何をしても泣きやまないと、養育者はイライラしてしまいがちです。日頃の育児疲れなども加わり、衝動的に泣きやまない赤ちゃんを激しく揺さぶるにいたります。

そのため、どこの家庭でも、誰でも衝動的にやってしまう可能性があります。
高学歴・高収入・高キャリアの人でも、子煩悩な人でも、育児経験が豊富な人でも、誰でも衝動的にやってしまう可能性があります。

■メカニズム
赤ちゃんの脳は柔らかく、また頭蓋骨と脳の間が大人よりも隙間があります。
パックに入った豆腐を想像してみましょう。パックと豆腐の隙間がない状態で揺さぶっても豆腐はあまり崩れませんが、隙間が広い状態で揺さぶると豆腐はパックにぶつかって崩れてしまいます。
それと同じことが赤ちゃんや子供の脳でおこるのです。脳そのものがダメージを受けてしまうというのがおわかりでしょうか。
そして、暴力的な揺さぶりでおきるダメージは、他の落下事故などではみられない特徴があります。

■予防について・努力し続けない
泣声が原因となることが多いため、赤ちゃんの泣きのピークが2か月ころであることを知っていることはとても大切です。
このころの赤ちゃんは何をやっても泣くことがあるとを知っていること。それから、赤ちゃんは泣くものだと思っておくことです。

そして、何をやっても赤ちゃんが泣きやまない時は、思い切って、赤ちゃんを安全な場所に寝かせて養育者はその場所を10分ほど離れましょう。
努力をし続けるよりも、離れて養育者が感情を落ち着かせることがとても大切です。




いかがでしたか?

赤ちゃんの泣き声にいらいらするのは、「ご近所や周囲へ迷惑をかけてはいけない」という養育者の気遣いもそこにはあるかもしれませんね。
赤ちゃんが泣いているのを見かけたら、「赤ちゃんは泣くものだから、私たちのことは気にしなくていいですよ、お父さん・お母さん。」というおおらかな気持ちで見守っていきたいですね。