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NPO法人バディチームブログ

バディチームは子育て支援・虐待防止・里親支援を目的とするNPO法人です。

講師Kの日記「巣立ちの時」

ワークショップ

巣立ちの時

去年の夏の日のこと。
外出のため住んでいるマンションの入り口まで下りた時、
道路から2段下がった低い階段の隅に小さなかたまりを見つけました。
微かな気配に気付き、しゃがみ込んでみると それは震える鳥のヒナでした。

巣から落ちてしまったのかな…?
頭上を見渡してみてもそれらしきものは探せず、さてどうしようかと腕組み。
こんなところに落ちていたら、猫やカラスに突つかれそうで危険。
ひとまず安全な場所へ…と手を伸ばし、保護を試みてみたのですが、
実は私は鳥に触れないということにハッと気づき、躊躇、そして葛藤。
「鳥に触れない」私と「鳥を見捨てるのか!?」という私。
勇気を奮い起こし、ぎりぎりまで手を近づけた時、ヒナが羽をばたつかせ、
階段を1段越えました…!
もう一度手を近づけるとさらに1段クリア。
そのままチョンチョンと跳ね出し、隣家の敷地へ。
ひとまずは安心して出かけたのですが、ずっと気になっていて、
帰宅後ネットでヒナのことを調べてみました。

そこでわかったのは、あの鳥は「巣立ちのヒナ」だったようだということ。
その時期のヒナには、人間は手出しをしてはいけないということ。
鳥が巣立ちをする時、必ず親鳥がそばにいて見守っているそうです。
私が「保護」しようとしていたことは、実は間違いで、大きなお世話だったのです。
触れなかったことが幸いしましたが、この時のことから自分の”お節介な性格”を省みました。

援助職に就いている人には、「他の人のことを放っておけない」タイプが多いのですが、
私も例に漏れず…です(苦笑)。
ともすれば、その人が持っている力の発現を邪魔してしまうかもしれない…
あのヒナのように自らの実力で飛び立とうとしている時、
人もまたもがいているように映るかもしれない…
余計なお節介は、こちらの「思い込み」から生ずるもの。
相手の気持ちではなく、こちらの感覚や体験、認識に照らし合わせてのこと。
そんなことを考えました。

鳥の場合、その生態を知らずに…ということもありますが、
人とのコミュニケーションでできることはたくさんあります。
その人の言葉や抑揚からは、今どんな感情を感じているのかに気づけます。
動作からも見ることができますし、表情や呼吸からも感じ取ることができます。
もちろんそれは技術的なことで、もっと大事なものは、
会話のない空気にあるのかもしれません。
どちらが上でも下でもなく、人と人が対等に向き合う時、
何かが行き交う…それが信頼関係を築いていくように感じます。

信頼関係は、対人コミュニケーションの上でも大切ですが、
自分自身とのコミュニケーションも忘れずにいたいことです。
私たち一人ひとりが持っている認識を自ら理解することで、
自分自身と、そして人との優しい関係が生まれてくると思います。

バディチームの基礎講座では、
そんなコミュニケーションの技術と認識についてをお伝えしています。
そして、「支援者のためのワークショップ」では、
自分自身と仲良くなっていくためのワークとシェアを行っています。

出会う人の支援に関わる時、誰かの力になりたい時、
その人を知ること、自分自身を理解することが、
それぞれの巣立ちのお手伝いになるのではと思います。